今はどうだか知らないけど私が中高生の頃の歴史の授業って、現代史についてあまり教えていなかったような記憶があります。
三国干渉とかは教わったけど、その後の日中戦争~太平洋戦争あたりは授業で教わった憶えがありませんね。
記憶違いかもしれませんが。
だから満州国については、映画「ラストエンペラー」で見たくらいの知識しかありません。
それと大叔母(祖母の妹)は旦那が満鉄関連の会社員だったので満州暮らしをしていて、その大叔母から聞いた話くらいですね。
で、友人から
「太平洋戦争を知るには、日中戦争を知らなきゃ理解できない。日中戦争を知るには満州を知らなきゃ理解できない」と言われて、勧められた本を二つ読んでみました。
一つは関東軍参謀部嘱託で満州通信社の設立運営に奔走し、後に様々な秘密工作を行う「里見機関」を作った里見甫について書いた「阿片王ー満州の夜と霧:佐野眞一著」。
これは小説ではなく、さまざまな資料調査から当時の歴史を掘り起こしたレポルタージュです。
Amazonの紹介には
「アヘンを制するものは支那を制す。中国人民の尊厳と国力を奪うアヘン密売の総元締めとして、満州における莫大な闇利権を一手に差配し、関東軍から国民党までの信を得た怪傑・里見甫。時代の狂気そのままの暴走を重ね、「阿片王」の名をほしいままにしたその生涯を克明に掘り起こし、「王道楽土」の最深部にうごめく闇紳士たちの欲望劇のなかに描き出す構想十年、著者の最高傑作。」
と書かれています。
満州国通信社は日本の国策で電通(日本電報通信社)と新聞連合を合併させて作った会社。
会社としては報道機関ですが、実際は関東軍や満州国経営の中枢にいた岸信介や星野直樹の下で、諜報活動や秘密工作を行う会社でした。
終戦後に日本に引き揚げた後に母体の電通が存続会社として残り、そこに満州関連の有力者が入ることで、電通は岸信介をはじめとする政府との関係で巨大企業に成長したことを初めて知りました。
もう一冊は、冒険小説作家の巨匠、船戸与一の遺作「満州国演義」。
こちらは敷島四兄弟という架空の人物を主人公にした小説ですが、小説としての面白さよりも当時の資料や新聞報道などの膨大な資料をもとに、歴史的事実を忠実に書くことに主軸がおかれているようで、船戸氏の他の小説とはかなり趣がことなっています。
たとえるなら塩野七生が書く歴史小説のように、歴史の記述が第一にあり、そこに血肉を通わせるために小説仕立てにしている、という感じで、満州事変の前から敗戦までの期間を全9巻にわたって、圧倒的なスケールで書き切っています。
特に当時の新聞報道などから起こしたと思われる、国民の感情や世論について細かく書かれているところが興味深いです。
「事実は小説より奇なり」と言いますが、満州がこんなに謀略と策謀が渦巻く国だとは知りませんでした。
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