生涯現役!は危険なライフプラン~後編

前回のお話
・人間が持つ資本は「労働資本」「金融資本」「社会資本」の3種がある
・若い時は労働資本への依存度が高く、年齢とともに金融資本への依存度を高めるのが正しいライフプラン
・25歳から毎月3万円の積み立て投資を行えば、誰でも40年後には5~6000万円の金融資産が作れる。
・「生涯現役!」は社会環境の変化や自身の健康・能力などで実現できるとは限らないから、労働資本のみに頼る一生は危険なライフプラン。

ということを解説しました。

今回は、3つの資本のうち、まだ解説していない「社会資本」についてのお話と、「もう中年だから、いまさら投資を初めても意味ないじゃん」という方の対処法についてお話します。

元ネタになったこちらの本は、今回お話している以外の側面でも「人の幸せ」について多くの示唆を含んでいます(けっこう冷徹な視点でw)。
私の解説は、この本に自分の視点を加えているので、原著の一読をおススメします。

こり

こちらからご購入いただくと、私にもいくばくかのメリットがあるので、よろしくお願いします💛

人間関係とはなにか

社会資本はお金を稼ぐことができる人間関係のことです。

「てやんでぇ。人間関係は金じゃねぇよ!」
と思われた方、当然です。

著者の橘玲さんは、人間関係は「愛情空間」「友情空間」「貨幣空間」の3つに分類できると述べています。

愛情空間は、家族、恋人などの人間関係。だいたい5,6人。多くても10人以内です。
友情空間は、親しい友人関係。2~30人程度の空間です。
貨幣空間は、経済的な価値交換でつながることができる人達。行きつけの定食屋とか近所の八百屋のおっちゃんとかのイメージですが、ネット通販が世界に広がり、生産や物流がグローバル化した現代では、ほぼ無制限の広がりを持っています。

人間関係のトラブルは狭間で起きる

この愛情空間・友情空間と貨幣空間は両立しません。

恋人とのセックスの後にプレゼントをあげれば相手は喜びますが、お金を渡したらひっぱたかれますよね。誕生日パーティーに呼ばれて現金を渡したら「え?」って思われるでしょ。

逆に友人の店に行くたびに「友達なんだから安くしろ」と言ってたら、しまいには塩を撒かれます。

アタリマエのことですが愛情・友情はプライスレスなんで、そこに経済合理性を持ち込むのはトラブルの元にしかならないのです。

ところがですね、この両者が交わってる部分があるんですよね。
しかも人生のかなりを占めるところで。

それが会社です。

会社は言うまでもなく経済が支配する貨幣空間なんですが、日本の会社は「先輩・後輩」「同僚」「上司・部下」の人間関係が支配する友情空間でもあるんですね。

昇進・昇格、昇給、ボーナス査定など、常に「誰かが獲れば、誰かが失う」というゼロサムゲームでありながら、そこに友情を求めたり、友情を築くことが求められる。

こういった環境では純粋な競争に人間関係が入るのでイジメが起きるのも当然のことです。

海外のように「あなたの仕事はこれで、その仕事の対価はいくら。仕事の評価基準はこれ」という評価制度なら割り切れるんですが、日本企業の評価制度は「人柄」「周囲との関係」が大きく含まれるので、業績評価が人格評価になってしまい、うつ病やメンタル障害の原因になります。

また、さまざまな企業判断に人間関係が入り込むので、正しい判断がゆがめられます。東京オリンピック組織委員会は、その典型例ですね。

愛情や友情と貨幣(経済利益)の混在が「生きづらさ」やトラブルの原因になるのはアタリマエのことです。

社会資本で生きる

となると「社会資本はお金を稼ぐことができる人間関係」が成立する空間は、貨幣空間に限定されます。

原著では社会資本の実例として「地方のプア充層」をあげていました。
プア充層とは、中学高校などの同級生や直接の先輩後輩で形成される「いつものメンバー(イツメン)」で、労働資本価値(学歴、技能)が低い、年収200万円前後の人達です。

彼らは低賃金なので独立して暮らすことは困難なのですが、それを友人同士で助け合って暮らしています。日頃はホームセンターなどのフードコートに集まり、出かける時はガソリン代をシェアして1台の車で出かけ、BBQをやるときにはスーパー勤務の友人が材料を安く仕入れ、ビデオやCDはみんなでシェア、困ったことがあれば有料のサービスを使わずに友人同士で助け合います。

つまり、貧乏だった学生時代の生活をそのまま続けているのです。
そのグループでのそれぞれの立ち位置は学生時代のままなので、自分のキャラ作りに悩む必要もありません。

彼らは労働資本と金融資本が貧しいがゆえに、社会資本に依存して生きています。
コアとなるメンバーは10~20人ほどの友情空間で結ばれた相手です。

このグループは同じような経済環境のメンバーでしか成立しないので、特に自分だけが貧しいとも感じません。「生活はキツイけど、友情で結ばれた仲間との楽しい毎日」が送れます。

このプア充の世界は友情空間と貨幣空間が共存していますが、そこには序列、暗黙のルール、同等の経済環境といった厳格な掟が存在します。それがないと、この関係は成立しません。

問題は、このようなグループはごく小規模で、共通の価値観と体験(同級生など)を共有している者でしか構成できないので、後から入っていくことは困難ですし、このグループから疎外されると、たちまち社会資本がゼロになり、金融資産も人的資産も乏しい人は、リアルな貧困に陥ってしまうということです。

社会資本を現金化する

というのが橘玲氏による社会資本の説明でしたが、この本が出された2017年から状況は大きく変わり、今では社会資本をリアルに現金化する人が、沢山現れました。

その典型がブロガーやユーチューバーです。

彼らにとっての社会資本は友人ではなく「ファン」という、直接的な貨幣空間でも友情空間でもない、その間に位置する不特定多数です。
SNSや動画配信サービスを通じてファンとの関係を築き、それを「広告収入」という形で現金化するのが、彼らの「社会資本によるビジネス」です。

ファンは実際に紹介商品を買うこともありますが、ただ広告をクリックするだけで実際の出費を伴わないでも現金化できます。
いわゆる「アフィリエイト」という奴ですね。私のブログにも沢山貼ってあるんで、ぜひクリックしてください(笑)

この分野の発達スピードは非常に早く、誰でも持っている「ちょっとしたノウハウ」や「ちょっとした商品」を現金化することが可能です。また、それを進めるプラットフォームサービスが次々に生まれています。

なんの技術やノウハウもなくても、物品の転売をこまめにやって収入を得る「せどり」で相当な利益を稼ぐ人もいます。

今までは特別な能力を持った人しか得ることのできなかった「ファン」を、一般人でもSNSを通じて作ることができ、そこから現金収入を得ることができる世の中になったのです。

誰でも仕事や趣味を通じて、それなりの経験や知識を持っています。
それは本人にとっては「アタリマエ」であっても、他の人にとっては「知らなかったこと」や「興味のあること」です。

今までは、それを「知りたい」とか「興味がある」という人にアクセスする方法が無かったのですが、それがSNSによって、容易に誰にでもできることになりました。

社会資本の価値と利用方法は、ここ数年で大きく変貌したのです。

金融資本プアな高齢者のサバイバル戦略

ここでやっと本題です。

「生涯現役!」つまり労働資本だけに頼るライフプランは、雇用が無くなったり自身の健康に問題がでれば、すぐに行き詰ってしまいます。
もちろん「働けるうちは働く」は非常に有効な戦略ですが、その代替プランを持っていないことは危険です。避難経路を考慮しない登山のようなものですね。

サバイバルにおいて大事なのは「どれだけの代替プランをもっているか」です。
「一生働いて、誰かから給料も貰って生活する」ではなく、金融所得、副業所得など収入のバリエーションを増やして、成長する可能性のタネを増やすことが重要です。

そのための具体的な方法をまとめた小冊子を用意したので、ぜひご活用ください。いまなら定価5万円を2万円で。。。。。ってなことは、私はやりません(笑)

そんな情報はネット上にいくらでも無料で落ちています。
ネット上でなにかを売りつけて金を取ろうというものは、大概はインチキですんで、引っかからないようにしてくださいね。

今は、どんなに価値のあるものでもネット上で無料で手に入ります。
それは「価値のあるものを無料で提供してファンを集め、それを広告収入として現金化する」という世界になったので、物販そのものを収入源にする必要がなくなったからです。

高齢者といえども、この環境変化を味方にすることは可能です。
要は、やるかやらないか、だけですね。
もしもYoutubeで登録者数を10万人獲得できれば、その広告収入は現役時代の年収を超えるレベルになります。

めざせカリスマ高齢者!です。

まとめ

長々と書いてきましたが、最後に年代別のライフプランをまとめてみましょう。

20歳まで:労働資本を高める努力が最重要。それは高給を取れる企業に就職する、高収入を得られる資格を取る、高収入を得られるビジネスを起業する、高収入を得られる技術を得る、などの能力を磨くことで実現する。自分の適性を早い段階で見極めることが大事。
学校の勉強に適正がなければ、高級寿司店で5年間修業すれば一生食べていく技術が得られます。下手なサラリーマンよりも工事現場を仕切れる人のほうが高収入です。実際に、どこにどれだけの給与が得られる仕事があるのかリサーチすること。

20~30代:積み立て投資信託を始め、なにがあっても継続する。投信はぼったくり物と優良物があるので、優良信託を選ぶ知識を得る(情報はネットにいくらでもおちてます)。
仕事のスキルを高める。といっても自己啓発や意味不明の資格取得ではなく「目の前の仕事を効率良く確実に仕上げる」ことに集中するのがもっとも効果的。

40代:人生で最大の分岐点。保有する金融資産によって「50代でリタイア」「生涯現役」に分かれる。何も考えて無く、生涯現役しか選べない状態であれば社会資本によるサバイバルプランを立てる。定年までに20年あるので、ここから積み立て投信を始めても、それなりの金融資産になる。給料が高ければ掛け金を増やすこと。

50代:基本的に40代と同じだが時間の余裕が無い、経済的なリスク余地が低い、子供の進学で出費が大きくなるなど、状況はさらに厳しい。財政プラン全体の見直しが必要。

60代:現状を大きく変えることは難しい。起死回生の一手はたいがい失敗する。時間を味方にできないので金融投資によるリターンは期待できない。60代からの投資チャレンジはほとんどが失敗する。
十分な金融資産が無ければ、出来る限り働いてプア充のような人間関係の中で生きるか、ファンを集めてノウハウを現金化する道を模索する。

↓なんか一つでも役に立ったらポチってくださいまし。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました