サックス・リード調整法(無手勝流w)

サックスとかフルートとかを吹くのが趣味なんですが、全てのサックス吹きが日々頭を痛めているのが

「5枚で3000円もするのに、使えるリードが1,2枚しかない」

ってことです。

サックスのリードは葦の幹を削って作った天然ものですから仕方ないと、みんな思ってますけど、これが普通の工業製品だったらリコールもんですよね。

近頃は人工リードも十分に仕事で使えるほどに良くなっていますが、やっぱり当たりの天然物には叶わない、って思ってる人が多いと思います。

そんなわけで、イマイチ使えないリードをなんとかしようとリードの調整をするんですが、この調整法が、これまた人によっていろんな意見があって「これさえやればバッチリ!」って方法がありません。
ですんで「調整って言っても、どーすりゃいいかわからん!」って、手を出せない人がほとんどですよね。

そんなわけで、今日は私のリード調整法をご紹介します。
限りあるお金と資源を有効に使ってSDGsなサックス吹きを目指しましょうw

「リード削るなんて大変そう」って思うかもしれませんが、オーボエ吹きはリードを自作するのがアタリマエですからね。
馴れればどうってことはありません。

鳴らない箇所を見つける

リードが鳴らないというのは「リードが上手く振動していない」ということです。
その原因としては「前後左右のバランスが取れていない」「リードの一部分に振動しない箇所がある」といったことが考えられます。

削る前に、まずは「リードのどこが鳴らないか?」を探さなければなりません。

やり方としては、顔を左右45°くらい傾けて吹いてみます。
するとリードの片側だけが振動するので、左右のどっちが鳴らないかがわかります。

次に咥える深さを前後にずらすと、手前、真ん中、奥のどこの鳴りが悪いかがわかります。

この二つを組み合わせると、リードをざっくり6分割してチェックできますね。

馴れてくればさらに細かくピンポイントで探れるようになります。

こうやってチェックして、鳴りが悪い部分を削って全体のバランスを取るのが基本の調整法です。

削り方

私は長年使い慣れた肥後守と普通のカッターとトクサで調整してます。
このタバコの吸い殻みたいな筒がトクサ(木賊)。天然の紙やすりみたいなもんです。

「トクサってよく聞くけど、どこで売ってるの?」って聞かれることがありますが、これはそこらへんに生えているのを採ってくるんですw

生えている時はこんな姿。

割烹や料亭の植え込みに使われていたり、川辺の湿地に自生しています。
普段から気にしていると結構見つかります。
園芸店で苗を売っていますが、これを地植えにするとどんどん広がって大変なことになるので、自分で栽培するときは鉢植えにしましょう(笑)

ナイフは鉛筆を削るように使うのではなく、刃をリードに対して垂直に立てて表面を掻きとるように削ると、鉋をかけたみたいに均一に削ることができます。

リードの裏全体を均一に削りたいときは刃が直線のカッターを使い、ピンポイントで削りたい時は刃がカーブした肥後守を使っています。
こうして「鳴らない=振動しない」ところをちょこちょことピンポイントで、刃物やトクサや紙やすりで削ってやるんですね。
コツとしては「もうちょっと」と思ったとこが止め時。まぁ、こればかりは経験を養っていただくしかありません。

肥後守やカッターじゃなくて「リードギーク」というリード削り専用の刃物が売っているんで、これからリード調整を始める人は、そっちを買ったほうがいいかもしれません。

プロの演奏家の方々も「これ、いーよ。ナイフよりも便利」って仰るんで、使いやすいんでしょうね。
お値段が高いので、私はいまだに手が出ませんけどw
ちなみに最新モデルは「G4」というタイプです。買う時はG4かどうか確認してくださいね。

全体に固い、全体に鳴らない

全体に固いというのは「リードが厚い」と感じる状態です。

この対処法は、リードの裏側(マウスピース側)の全体を削ってやることです。
さきほどの「カッターの刃を垂直に立てて鉋のように削る」というやつです。
微妙に削るならトクサや、四角い消しゴムなどにサンドペーパーを巻いたもので削ってやります。
サンドペーパーで平面を出す時は、平なものに巻いて使わないと均一に削れませからご注意ください。
番手は400~600番程度が使いやすいです。

近頃はリード用の砥石なんてものも売ってるんですね。

結構なお値段がするんで、普通の合わせ砥石を買ったほうが良い気もしますが。。。。

これなら中砥と仕上げ砥が二つセットですしね。

それはともかく、こうして裏側を削ることでリード全体が薄くなり、歪みも無くなってマウスピースとの密着度も上がります。

この時に注意するのは、リードの先端から1㎝以内は削らないこと。
リードが厚いと感じるのは、先端ではなく根本の方に原因あることが多いので、先端側は触らないようにしたほうが無難です。
先端が薄くなりすぎると、リードの腰が抜けて使い物にならなくなってしまいます。
逆にマウスピースに接する部分は、かなり削っても大丈夫。

このリードは裏の印字が薄れるくらい削ってます。

リードの左右のほうが削れるのは、濡れることでリード全体が若干丸みを帯びてくるからです。
ここを削ることでリードとマウスピースの密着が良くなります。

もう一つの方法は「リードの削り際をさらに削る」です。

具体的にはこの射線部分ですね。

先端が割れてますが、これは既に死んだリードです(^^;
見てわかるとおり、元々の削り際のところにナイフを入れた痕跡が見えますよね?

私はリードを根元のほうから振動させる吹き方をするので、この部分を鉛筆を削るように結構大胆に削ります。
こーゆー時は刃がカーブしている肥後守が便利です。

「肥後守が欲しい!」というマニアックな方には、元祖肥後守のカネ駒(永尾駒製作所)製の「青紙割込」をお勧めします(笑)

「全体にならない」というリードは、いわゆる「ドはずれのリード」で、これは葦の材質自体に問題があってダメなこともあるので、一番厄介です。

こーゆーのは「上手く行けば儲けもの」で、実験台だと思ってガンガン削ってみましょうw

リード復活法

お気に入りのリードも、いつかは腰が抜けて鳴らなくなります。

元々なっていたリードというのは材質や全体のバランスが良いものですから、そのまま捨てるのは勿体ないんですよね。

そーゆー時はリードの先端を少し切ってやると、リードが復活することが多いです。
その時に使うのがリードカッターです。

リードをセットした状態

裏側から見て左右が均等になっているかと、リードの先端の長さ(切る長さ)が適当かを確認します。
リード先端の出具合は、根本側のネジで調整します。
髪の毛1~2本分くらいが適正です。

切る量が決まったら本体とリードを押さえて、レバーを操作すれば簡単に先端が切れます。
写真を撮るんで片手でやってますが、必ず両手でやってくださいね。

こんな感じで、ごくごく狭い幅でリードの先端を綺麗に切り詰めることができます。

このリードも削り際をさらに削っているのがわかりますね。

多くの場合は、これでリードが復活します。
切りすぎて厚くなった時は、全体を調整してください。

経済封鎖で物不足が深刻なキューバのサックス奏者は「リガチャーがかからなくなるまで削って使う」って言ってました。

そんなリードであんな演奏をしちゃうんですから、キューバ人ってスゴイですよね。
やっぱり物じゃなくて腕と練習なんですね(笑)

ちなみにリードカッターはマーカ製が定評があったんですが生産中止になったみたいで、アマゾンでは12000円とかのバカみたいな値段で売ってます。
Rondinoがマーカと同様の製品を作ってるので、これがいいんじゃないかと思いますね。
買う時はソプラノ、アルト、テナー、バリトン用があるので間違わないようにご注意ください。

ひとつ買うならリードカッターを

リードギークもリードカッターもそれなりのお値段がしますんで「一度に揃えるのは無理!」という金欠のご同輩には、「買うなら、まずリードカッター!」と強くお勧めします。

理由は簡単。

削るのはカッターでもトクサでも紙やすりでも出来ますが、先端を切ることができるのはリードカッターだけだから。
それにリードカッターがあれば削り過ぎたリードや腰が抜けたリードを復活させることもできます。

どれか一つを買うなら、まずリードカッターが良いと思います。

結局、馴れるしかないのよね

私にリードの削り方を教えてくれた方(プロのミュージシャンです)に「真ん中は削っちゃいけないんですよね?」って聞いたことがありますが、その方は「どこでも自分が削りたいと思ったところを削ってみればいいんだよ。そうしてリードの鳴り方がどう変わるかを経験しなきゃ、何もわからないでしょ。どうせダメなリードなんだから失敗して元々、成功すれば儲けものくらいのつもりでやってみな」と仰ってました。

いや、本当にその通りなんですよね。
削る場所とか、削り加減とか、数をこなさなきゃわからないんです。
ダメモトでやって、10枚、20枚も削れば、そこそこの確率でダメリードをレスキューできるようになりますよ。

私の場合は、調整法を憶えたことで使用できるリードが倍以上になりました。

リード保存法

リードの保存法も「乾かした方が良い」とか「乾かさない方がいい」とか「半年間日本酒に漬ける」とか「靴下にくるんで1年間冷蔵庫で追加乾燥させる」とか、色々な秘法が伝わっていますが、私はウェット派で、こんな容器に湿らせたスポンジを入れて4,5枚のリードを冷蔵庫保存しています(冷蔵庫にいれとかないとカビますw)。
ギグに行く時は、このまま持っていけばOK!

これ、何かというと化学実験の検体をいれる遠沈管(遠心分離管)というものです。
実験器具だから密閉は完璧で頑丈。しかも安い!!
容量50mLだと長さが13㎝なのでテナーのリード4枚がホルダーごとすっぽり入ります。
最安値はアマゾンで5本430円でしたw

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