御嶽(うたき)は沖縄県内のいたるところにある拝所(うがんじょ)で、聖域とされています。
近頃はスピリッチャル・ブームとかパワー・スポットだとかで御嶽巡りなどというツアーも行われていますが、御嶽にむやみに近づくと怖いですよ、というお話。一部怖い画像が入っていますので、おイヤな方は読まないでくださいね。
そこらじゅうにある御嶽
御嶽というとユネスコの世界遺産に指定された斎場御嶽(さいふぁーうたき)が有名で観光名所になっていますが、ほとんどの御嶽はもっとこじんまりとしたもの。
内地の道祖神やお地蔵さんのように小さな祠があるものもありますが、鳥居も祠もないちょっとした茂みだったり、岩だったり、崖の窪みだったり、そんなところにお供え物がしてあれば、それは御嶽と思って間違いありません。
洞窟(ガマ)が御嶽になっていることもあります
牧草地の中に残ってる茂み
画像の右手にある茂みが御嶽です。
この茂みも御嶽ですね。
御嶽の怖い話
内地にくらべると沖縄では、こういった聖域がまだ沢山残っていて、生活の中に溶け込んでいます。
内地でも神社仏閣はあちこちにありますが、それとはちょっと違う感じなんですよね。
なにが違うかというと「怖い話」が多いんです。
たとえば、沖に見えるこの小島。
この島はこの地域をつかさどる神様が生まれた開祖の島で、島全体が聖域になっているそうです。
普通に1日6便の定期船で15分くらいで渡れる島ですが、ある時この島を一周する道路を作ることになり、道の邪魔になる大岩を壊そうとしたところ、事故と怪我人が続出。島の司(女性神官)にお祓いをしてもらってもどうにもならず、結局一周道路は断念。
観光客が石を持ち帰ったところ不幸や体調不良に見舞われて、島の郵便局に石を戻して欲しいと送られてきたということも。
こういった話で有名なのは沖縄本島の「神の島」と言われる久高島ですね。
斎場御嶽でもカメラが急に動かなくなったとか、観光客の体調が悪くなったという話は珍しくないそうです。
紹介した画像の島の名前は、そのものずばりの「大神島」
いまでこそシュノーケリング客でにぎわっていますが、地元の人は「用もないのに行くところじゃない」「むやみに近寄っちゃいかん」と、島に行ったことが無い人も沢山います。
基本は祟り神?
地元の人に御嶽がらみの話を聞くと「願掛けをしてご利益があった」という話は、あまり聞かないんですよね。
「部落が災害にあわず、豊作豊漁でありますように」という祈願はしますが、個人的な「願掛け」をするという考えが、そもそも無いようです。
氏神さまというよりも自然崇拝のような感じです。
こういった神様って、内地の祟り神に似ています。
もっとも有名な祟り神といえば平将門を祀った東京大手町にある将門塚(首塚)でしょうか。
この地は大昔から将門の祟りに苦しめられたため、それを鎮めるためにできたのが神田明神。
だから「江戸っ子は将門様の氏子」と言うんですね。
この将門の祟りは凄まじく、関東大震災の復興計画でここに大蔵省庁舎を建てようとしたら工事部長や工事関係者や大蔵省職員どころか大蔵大臣まで不審死してしまい、あわてて工事を中止して鎮魂碑を建立してなんとか収まったとおもったら、別の場所に建てた大蔵省庁舎が落雷で全焼したり、第二次大戦後にGHQが区画整理のために将門塚を撤去しようとしたらブルドーザーが横転するわ、事故死者は続出するわで、掘り返したら将門の古い鎮魂碑がでてきて大騒ぎになり、これも中止になって、いまでも丸の内のオフィス街のど真ん中に将門塚は祀られています。
1000年を経ても、世界最強の米軍に祟って計画を変えてしまうんですから、凄い祟り神ですね。
こういった祟り神信仰は日本はもちろん世界のいたるところで見られますが、毎年のように台風の大災害に見舞われ、かつてはマラリアなどの疫病が猛威を振るっていた沖縄では、祈願成就の神様ではなく「自然=荒ぶる神」を鎮める信仰が多く生まれたのではないでしょうか。
地元の人に御嶽にまつわる話を聞くと、粗末に扱った人が事故にあったとか、供え物を盗った子供が神隠しにあったとか、畑を広げようと御嶽の一部を削った家が没落したといった、祟り系の話ばかりが出てきます。
自分が祟りにあった話
私が住んでいる部落も東西南北の四方に御嶽があります。
その中でも一番立派な御嶽は部落の開祖を神として祀ったもので、御嶽の入り口に立派な拝所が作られています。
年に2回、この御嶽の清掃を行うんですが、なぜ2回だけしかやらないかと言うと「滅多に近寄ってはならない」からだそうです。
年に2回の掃除なんで祠に行くまでの道も密林状態。
拝所で「どうか掃除で入ることをお許しください」という祈祷をしてお供えをしてから清掃を行います。
今では過疎化で部落の司(女性神官)もいなくなってしまいましたが、昔は20名ほどの司がいて、それが神様に「掃除をして良い日」のお伺いをたて、厳格な神事を行ってから清掃をしたそうです。
完全な聖域あつかいだったんですね。
で、ある日の御嶽清掃のこと。
ここは普段は人が入らないので、珍しい昆虫や植物が見れるので、掃除をしながら写真を撮っていたんです。
掃除も終わりに近づいた頃に、上の祠のほうから「おーい」と呼ぶ声が聞こえたので、そっちに行こうと振り返り、目の前にあった枝を切ろうと何気なく鎌で払ったら左手に衝撃が。
枝の脇に垂れていた蔦で鎌が滑り、枝をもっていた左手の人差し指を軍手もろともザックリとやってしまいました。
指からは血が噴き出して触っても感覚がありません。
まさか、と思って動かしたところ、なんとか指は動きます。
一安心して医者にいったら合計7針の怪我。
「あと0.5m深かったら指が動かなくなってたよー」と言われました。
あやうく楽器を演奏できない身体になるところでした。
グロい画像ですいません。
ちょっと可愛くしてみました。
当然のこと
病院から帰って自治会長に無事の連絡をしにいったら
「御嶽で写真なんか撮ってたらバチがあたって当然さー。以後注意するべきね」とお叱りをうけました。
この話をした島の友人も、みんな同じ反応で、御嶽にまつわる怖い話を沢山教えてくれました。
「ないちゃーだから手を落とさないよう神様が気遣ってくれたはず。優しい神様だねー」という人も。
不思議なこと
この御嶽は下に開祖の妹の祠、上に開祖の祠が祀ってあって、その両方の写真を撮ったんですけど、後から探しても見つからないんです。
それだけじゃなく拝所から先の画像は一枚も保存されていません。
そもそも指を切った時は、上の祠の清掃を終えて、みんなで入り口に戻りながら掃除をしていた時で、私は最後の方にいました。
誰が呼んだんでしょうかね。。。。。。
私は霊感やスピリッチャルには全く縁がない人間で、幽霊もUFOも見たことないんですが、こればかりは不思議な感覚を否定できません。
ですんで、スピリッチャルがらみとか、ヒーリングスポット、パワースポットと称しての御嶽巡りは、私は絶対にやろうとは思いません。
沖縄の御嶽は「触らぬ神に祟りなし」だと思っています。
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