「FIRE:最強の早期リタイア術」を読んでみた

近頃話題になってるFIRE(Fainantial Independence and Retire Early)の元が、この「Fire:最強の早期リタイア術」です。

内容をひとことで言うと前回の「ウォール街のランダムウォーカー」で紹介されている投資法を実践した人の実録体験談。
今日は前回つながりということで「FIRE:最強の早期リタイア術」についての解説です。

FIREの内容は?

この本は、中国四川省からカナダに移住した一家で育った女児が、就職、結婚し、「ウォール街のランダムウォーカー」に書かれているインデックスファンド投資の方法を忠実に実行して、31歳でインデックスファンドからの収益のみで生活する「経済的自由」を達成するまでの道のりとノウハウを書いた本です。

ノウハウの内容は「ウォール街のランダムウォーカー」に書かれているとおりなのですが、原著では難しくて読みづらいことを、実体験ベースでわかりやすく解説しています。

インデックス投資についての具体的なノウハウを理解するには「Fire:最強の早期リタイア術」を読んで、それから「ウォール街のランダムウォーカー」を読んで、詳細を確認したほうがわかりやすいでしょう。

もう一つのFIRE本

実は以前にも経済的自立と早期リタイアで一世を風靡した本がありました。
みなさんもご存知だと思いますがロバート・キヨサキの「金持ち父さんシリーズ」がそれです。
特に、この本はタイトルからして、そのものズバリ「若くして豊かに引退する方法」。

この本(というか「金持ち父さんシリーズ」全て)の内容は、自分でビジネスを興してビジネスオーナーとなって経済的自由を達成するということです。
ビジネスオーナーとは「自分が働かなけらばならない自営業者」ではなく、自分が寝ていても誰かが働いてお金を稼いでくれるビジネスの所有者という意味です。

そのために一番優れているのが投資用不動産のオーナーになることで、借り手が働いて払った賃貸料で暮らせるようになれば経済的自由が達成できるということ。

これがその後のサラリーマン大家ブームの火付け役になり、少額の自己資金で投資用不動産オーナーになったとか、自己資金ゼロで投資用不動産オーナーになったという成功体験の本が山ほど出版され、ブームに乗っかった詐欺商材が山ほど売られ、ついに「かぼちゃの馬車事件」のような詐欺事件を生むことになったのは記憶に新しいでしょう。

FIREのトリック

FIREの基本原理は単純明快です。

「ウォール街のランダムウォーカー」に書かれている「株式・債券のインデックスファンドの平均年間リターンは6~7%だから、毎年4%程度取り崩しても、元本は永遠に減らずに不労所得をもらい続けることができる」を実践しているだけです。
そして年間生活費がインデックスファンドから得られる不労所得を下回っていれば、永遠に働かずに生活できる、ということです。

ここで問題となるのは「総額いくらのインデックスファンドを持っていればいいか」です。

生活費が年150万円なら、必要なインデックスファンドの総額は4,500万円(税率20%含む)。
300万円ならば9,000万円。
40代サラリーマンの平均年収の500万円ならば1億2,500万円です。

この本の著者のクリスティー・シェンとブライス・リャンは、夫婦でコンピューターエンジニアとして働いています。
世帯年収は10万ドル(約1千万円)前後でしょう。それで徹底的な倹約を行っているので年間5万ドルくらいの投資を行っていたと思われます。最初のインデックスファンドへの投資金額も10万ドル(1千万円)でしたから、毎年相当な額で継続的に投資を行っていたと推測されます。

さらにクリスティー達が投資を始めてすぐにリーマンショックが起きましが、その後の回復期では記録的な上昇をみせました。
著者は、この記録的な期間に毎年500万円以上の投資を継続するという非常な幸運に恵まれて、9年間で100万ドル(1億円)の資産を形成したわけです。

そしてFIRE後の生活は、家財道具は実家に置いて家は持たず、車は持たず、子供を持たずに、一年のほとんどをAir B&Bや格安チケットを利用して安価な海外生活をし、国に帰った時は実家で暮らすというミニマムな生活をすることで、生活費を最小にとどめることで、年間生活費400万円の不労所得生活を実現させています。

そんな生活をしたいかどうかは、個人次第ですね。

この本にはクリスティー達の投資総額は書かれていませんが、9年間で5000万円以上の投資をしていることは間違いないと、私は推測します。
これだけの高額投資こそが、クリスティー達が9年間でFIREを実現した最大の要因でしょう。

FIREの実現に向けて

ロバート・キヨサキは、投資用不動産オーナーになることで、経済的自由を手に入れました。
これは、昔から「家作(投資用不動産)を2,3軒手に入れて、老後は家賃収入で暮らす」という、年金制度も健康保険制度も無かった頃の日本で行われていた、小金持ちにとって普通の老後対策です。

クリスティー達はインデックスファンドへの投資から得た金で、経済的自由を手にいれました。
これはまさに世界中の年金基金がやっていることです。

どちらも特に新しい方法でも、奇抜な方法でもなく、ごく常識的な投資運用を個人レベルでやっているだけのことです。

このどちらも、20代から平均的な年収を得て、倹約をして貯蓄をして、低リスクな投資運用を行えば60歳までに実現可能な現実です。

しかし、これを10年で実現しようとすると、リスクの高い個別株投資や不動産投資を行って大きなリターンを得ることが必要になります。
現実的に考えれば、ほとんど金融資産も投資経験もない人間が10年間の運用でFIREを実現できる可能性は、低いでしょう。

つまり、問題となるのはFIREまでの期間設定をどうするかということになります。

20代から30年以上働き、リスクの低い投資を行い60歳でリタイア生活を目指すのであれば、それは計画的な貯蓄と低リスクの投資で十分実現可能です。
30年間も投資を続けていれば、その間に2,3回はバブル相場とバブル崩壊が必ず起きるでしょう。

その時に十分な投資経験を積んでいる人であれば、しっかりと利益を確保し損失を最低限にとどめるっことができるでしょう。普段は低リスクな投資をして、このような資産を大きく増やすチャンスを待てば良いのです。
現実に、私はリーマンショック後やコロナショックで暴落した優良株を安く購入したことで、金融資産を大きく膨らませることができました。

市場がパニックになっている時に、恐怖に打ち勝って大勢と反対の行動を取ることができるかどうか?
投資で成功する最大のコツはここにあります。
平時はコツコツと積み立て投信を行い、市場の暴落というバーゲンセールがきたら安売り中の優良商品を買う。
それに成功すれば60歳よりも前にリタイアすることが可能でしょう。
今や定年が70歳まで延長されようかという時代ですから、50代でのリタイアは十分なRetire Earlyだと思いませんか?

「Fire:最強の早期リタイア術」は「ウォール街のランダムウォーカー」の実践記録として、リーマンショックの過程で起きた心理的な動揺と、それに対する対処法、思考法を書いているという点で、一読する価値のある本だと思います。

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