鎌の刃こぼれ修理

裏山の柴刈りで刃こぼれした鎌。

草刈り鎌で笹や木の枝まで切ったんで、刃がボロボロです。
これを直すのが今日の課題。

手順は目次のとおりです。

グラインダーで削る

まず、刃こぼれして凸凹になった刃先を、グラインダーで削って、大まかな形にします。

この時に絶対に注意しなければならないのは「刃先に熱を持たせない」こと。

一枚鋼で作られた洋式の刃物とちがい、和式の刃物は薄い鋼の刃が地金に鍛接されています。

鎌は出刃包丁と同じく地金に鋼が鍛接された片刃の刃物です(安い物は一枚鋼)。日本刀のように地金の中心に鋼が入った刃物は両刃といいます。

焼き入れされた鋼は、熱が入ると変性して鈍ってしまい、切れなくなってしまいます。
刃が紫色や黒に変色してしまったら熱が入って鋼が鈍ってしまった証拠です。
グラインダーを一ヵ所だけに当てると熱が入るので、元から先端に向かって常に手を動かします。
2,3回削ったら刃に水をかけて温度を下げ、何度も少しづつ削っていきます。

削り方は、刃先だけを削ると角度が鈍角になるので、まず峰に近い方まで削って最後に刃先に角度をつけるようにします。鉛筆を削る要領ですね。

この角度の付け方で、自分の使用目的に合わせた刃の角度が作れます。
柔らかい雑草を刈るのが目的なら薄く、笹などの固いものも刈るなら厚めに仕上げて刃持ちを良くすることができます。

グラインダーは、回転速度が遅く熱が入りづらい「刃物砥ぎ用」を使います。
普通のグラインダーより低回転で力も弱いのですが、これでも鉄パイプや鉄板を切ったりレンガや石を切ることができるので、普通のDIYにはこれ一台で十分だと思います。
私が使っているのはリョービの7000回転、210wの刃研ぎグラインダーです。

砥石は刃砥ぎ用を使います。
この砥石は鉈のような直線と鎌のような曲線の両方に使えて便利です。

グラインダーだけで最後まで作業はできません。刃先が薄くなってバリが出てきたところでグラインダー作業は終わりです。
刃先のギザギザしたところがバリです。
グラインダーで削ったところが白いままで、必要以上の熱が入っていないことがわかります。
これが紫や黒に変色していたら熱が入って鋼が鈍ってしまったということになります。

刃の形を整える

バリは鉄工ヤスリで削れば簡単に取れます。
鎌の刃を研ぐ時は、このように刃をレンガや材木などの枕に乗せて柄を踏んで、刃をガッチリと固定して作業します。

鎌のように刃が湾曲している物には、半丸ヤスリを使います。

刃先のラインが歪んでいたり、厚みが不揃いになっていたら、ここでヤスリ掛けをして修正します。

刃を研ぐ

鎌の刃は湾曲しているので、砥石も専用の棒砥石を使います。

茶色の仕上砥とグレーの荒砥が合わさった両面の鎌研ぎ砥石。使っているうちに両端がプロペラ状に減っていきます。携帯サイズなので、山の中やキャンプ地などに携行して使えます。

まず荒砥で削ってから、仕上砥で刃をつけます。

砥石のかけ方もグラインダーと同様に「峰の近くまで研いで、最後に刃先を研ぐ」です。

鎌は片刃なので、斜めになっている面だけを研いで裏は研ぎません。
刃先までちゃんと研げると裏側に「かえり」と呼ばれるバリが出ます。
刃先の裏側を指でなでると、わずかに引っかかるのでわかります。
この「かえり」が出るのが、刃先がちゃんと研げた証拠です。
これを裏から仕上砥で軽くなでて取ってやれば、砥ぎは終了です。

ポイントは
・刃こぼれを直す時は、刃研ぎグラインダーを使い、刃に熱を入れない。
・鎌を研ぐ時は、鎌専用の棒砥石を使う。

の2点です。

小一時間の作業で、新品同様に切れる鎌になりました。

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